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Monday, February 12, 2007

会田誠 (Aida Makoto)






会田誠 (Aida Makoto)
1965年新潟県生まれ。
現代美術家。

会田誠の作品で最初に目にしたの が、雑誌に掲載されていた1枚目の 「巨大フジ隊員 VS キングギドラ "The Giant Member Fuji Versus King Gidora"」 で、現代美術に詳しいというのでもなかったのだが、こういう絵を描く人が出てきたんだと驚いたのを憶えている。
ただ、幼少期に TV の再放送で 『ウルトラマン』 は何度も見ているというのに、肝心のウルトラ警備隊のフジ隊員が巨大化するエピソードがまったく記憶に残っていなかったため、そのエピソードが記憶に残っている人が受けたであろう感銘を受け損なっている。

ということもあり、実際には 「巨大フジ隊員 VS キングギドラ」 よりも、その後に見た一連の 「犬」 ものの方がボクの中で強く印象に残っている。
こ れはボクが永井豪 (Nagai Gou、Nagai Go) 好きであることが大きく関係しているのだけど、「犬」 シリーズの 「犬(雪月花のうち“雪”)」 を見た瞬間、永井豪の 『バイオレンスジャック "Violence Jack"』 に再登場させられた、『デビルマン "Devilman"』 の主要キャラだった牧村美樹と飛鳥了の人犬と化した無残な姿にゾクゾクした時のことを思い出したのだ。
所帯を持つ以前/以後で永井豪の悪意の発露のレベルが大きく違っているということがファンの間ではよく言われ、 『バイオレンスジャック』 は勿論ガンガンに悪意を放っていた所帯を持つ以前の作品である。
当時リアルタイムで作品を読み、永井豪のあの悪意の爆発に身震いした人って多かったのではないかと思うし、おそらく、少年・会田誠もその一人だったに違いない。

こ の会田誠って人は、少年時代に週刊少年マガジンや月刊少年マガジンに連載されていた 『バイオレンスジャック』 を読んでかなりショックを受けたんだろうな、自分が読んだのは大学に入ってからのことで、それでもかなり驚いたのだけど、少年の頃、突然永井豪の悪意に触 れたショックは僕の場合と比べるまでもなく大きかったんじゃないだろうか、で、その牧村美樹の記憶をレファランスとして新たな無惨絵・残酷絵を描いたんだ な、っていうのが 「犬(雪月花のうち“雪”)」 を最初に見た時の印象で、サブカルを卒業しないままオッサンになってしまったので、今も作品を見た時と印象は変わらない (まあ、この文章はオッサンになった今、当時のことを思い出しつつ書いているので、当時そう思ったと思いつつ書いたとしても実際は今の感想でしかないって 可能性は拭い切れないのだけどね)。
まあとにかく、会田誠は一連の 「犬」 もので永井豪が作品に込めていた悪意というものを反復することになったのだ。

椹木野衣は 『「爆心地」の芸術』 の最後に収められた 《「爆心地」の芸術―「ゼロ」から「ゼロ」へ》 の終わりの方で 「巨大フジ隊員 VS キングギドラ」 に触れている。
少し長くなるが引用してみよう。

こ のように、戦後サブカルチャーの起源にあるのは、端的に 「敗戦」 の記憶であり、「アジア太平洋戦争」 という暴力にほかならない。したがって、一度 「戦争美術」 ないしは 「現代美術」 という枠組みを判断停止してしまえば、戦中期の 「戦争画」 は、敗戦後も、けっして中断されたわけでも忘れ去られたわけでもない。ある面からいえば、「戦争画」 は、小松崎や成田といった 「境界線上の美術」 を通じて、それが漫画やアニメといったサブカルチャーであることによって批判から守られ、現在に至るまでそのまま維持されていたといってしまっても過言で はないだろう。そしてそれは、主に一九六〇年代生まれの作家たちに、「美術」 というねじれた回路を通じて受け継がれ、村上の 〈タイムボカン〉 (一九九三) や会田の 〈巨大フジ隊員 VS キングギドラ〉 (一九九三) へとかたちを変え、まさに 「いま・ここ」 で反復され続けている。その意味でも 「戦争画」 は、近代日本における美術研究の肝要であることはもちろん、漫画・アニメ研究者にとっても、最大の 「パンドラの箱」 なのだ。

以上は、戦後忌まれ人前から隠されていたはずの 「戦争画」 がどう生きながらえたのかということについてまとめ、それが更に1965年生まれの会田誠にどう受け継がれたのか簡単に触れた部分になる (引用部に登場する小松崎とはもちろんボックスアート界の巨匠小松崎茂のことで、成田はウルトラシリーズの怪獣デザインなどで知られる成田亨のこと)。
「巨 大フジ隊員 VS キングギドラ」 はそういった緊張を孕んだ 「戦争画」 というモチーフが少年時代に脳裏に焼き付けた 『ウルトラマン』 のウルトラ警備隊のフジ隊員が巨大化したエピソードを通して現れる一方で、葛飾北斎のエロティックな木版画の傑作の一つとして知られる 『蛸と海女』 がモチーフとして用いられている。
だから、「巨大フジ隊員 VS キングギドラ」 は、戦争画でありつつ、(木版画というよりも) 無惨絵・残酷絵でもあるという作品となっているといえなくもない。
だけど、アセテート・フィルムにアクリル絵具でセル画調のマットなタッチで無機質に描き上げられていることから、戦争画に付き物の高揚感や無惨絵・残酷絵に付き物の情念というものが一見剥ぎ取られているかのように見えるところがクセモノなんじゃないだろうか。


会田誠は 「巨大フジ隊員 VS キングギドラ」 を描く前年に 「地球防衛少女イコちゃん VS キングギドラ "The member of the giant Ico Chan vs. King Gidora"」 という作品を描いているということは、会田誠ファンには周知の事実かもしれない。
しかしご存じない方もいることだろうし、まずは 『地球防衛少女イコちゃん』 とは何ぞやというところから説明していくことにしよう。

『地 球防衛少女イコちゃん』 というパロディめいた名前は架空の作品ではなく、1987年に河崎実監督のオリジナルビデオ作品で (この作品自体が特撮モノのパロディではあるのだけど)、主演のイコちゃんこと河井イコを磯崎亜紀子が演じている。ちなみに第2作目も1988年に 『地球防衛少女イコちゃん2 ルンナの秘密』 というタイトルで制作され、こちらは増田未亜演じる菅河イコの2代目イコちゃんへと主役が交代している。
ちなみに、サブカルチャー系のライターとして有名な川勝正幸は 『地球防衛少女イコちゃん』 にチョイ役で出演し、『ポップ中毒者の手記』 でそのことに触れた件があるので、興味のある方は手に取って確認してみるといいだろう。

さて、その 「地球防衛少女イコちゃん VS キングギドラ」 だが、上にポストした作品を見れば分かる通り 「巨 大フジ隊員 VS キングギドラ」 と構図は全く同じである。
違うところを具体的に挙げるとしたら、キャラクターの設定上からコスチュームが違っているところ、水彩絵具とアクリル絵具という画材の違い、そして 「地球防衛少女イコちゃん VS キングギドラ」 では希薄だった陰影が 「巨大フジ隊員 VS キングギドラ」 ではセル画的陰影としてはっきり付けられてる点などがあるだろう (3点目の陰影についてはポストした画像で見る限り 「地球防衛少女イコちゃん VS キングギドラ」 の方は希薄そう見えるが、実物にははっきりとした陰影があるのかもしない)。
また、『地球防衛少女イコちゃん』 でイコちゃんを演じた磯崎亜紀子が当時まだ14歳の少女であったのに対し 『ウルトラマン』 でフジ隊員を演じた桜井浩子は当時20歳の女性だったという、演者の実年齢の違いというものがあるのだが、それを作品から読み取ることは不可能で、いや、「地球防衛少女イコちゃん VS キングギドラ」 のイコちゃん方はともかく、 「巨大フジ隊員 VS キングギドラ」 のフジ隊員の方はまるで女子高生の様な顔立ちに描かれており、少女化され、年齢差というものはむしろ逆にその差が無効化されている。
イコちゃんと少女化されたフジ隊員は共に虚ろな顔をして横たわっているのだけど、 アセテート・フィルムにアクリル絵具で描かれたフジ隊員の方がその虚ろさがより際立っており、キャラクターとしてだけでなく、作品 「巨大フジ隊員 VS キングギドラ」 としてみた場合もツルツルとしたプラスティックな虚無のようなものが描かれた時代の雰囲気と恐ろしいくらいにシンクロしているのだ。

会田誠の作品から現代美術史的に作品を選び出すとしたら 「あぜ道」 や 「紐育空爆之図」 などになるのだろうが、サブカル野郎的な視点からすると 「巨大フジ隊員 VS キングギドラ」 や 「犬」 シリーズの方が美味しく鑑賞できる作品であり、フェティッシュを刺激してくれるありがたい作品ということになるだろう。

以上が、アートブログ的なものをやっているクセにアートに全く詳しくなく、ともすればサブカル視点で語ってしまう者の見た会田誠の作品への感想である。

ポストしたのは、

"巨大フジ隊員 VS キングギドラ (The Giant Member Fuji Versus King Gidora)" (1993)
"地球防衛少女イコちゃん VS キングギドラ (The member of the giant Ico Chan vs. King Gidora)" (1992)
"犬(雪月花のうち“雪”)" (1998)
"犬(雪月花のうち“月”)" (1996)
"大山椒魚" (2003)

の5点。

MIZUMA ART GALLERY : 会田誠 / Makoto Aida
Universes in Universe - Welten der Kunst
TS65 : 会田誠 - Tokyo Source


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Thursday, June 1, 2006

Mathilde Aubier






Mathilde Aubier (マチルド・オービエ)
フランス西部の都市、ル・マン (Le Mans) 在住。
グラフィックデザイナー、イラストレーター。

最近のマチルド・オービエの作品はそうでもないのだが、初期の作品を見ていくと、若干の悪意や意地の悪さが作品から滲み出ているのが感じられる。
多分それは誰かからの依頼で制作した作品というのではなく、マチルド・オービエが趣味で制作していた作品だからなのだろう。
いや、依頼を受けて制作されたものか趣味で制作したものか判断する材料があるわけではないので、僕の勝手な印象ということになるのだけど。

とにかく、最近は作品が洗練されたものになってはいるのだけど、少しばかり毒のある作品というのがなくて、それはそれで残念かなと。


ポストしたのは、

"On Ne Peut Pas Plaire A Tout Le Monde"
"The concretes"
"Valentine"
"colgate blancheur"
"Self portrait"

の5点。

Mathilde Aubier illustrations & graphic design
mathilde on deviantART

Thursday, May 25, 2006

Julia Gukova (Гукова Юлия) - Alice's Adventures in Wonderland (Alice in Wonderland) -







Julia Gukova (Гукова Юлия、ユーリア・グコーヴァ)
1961年4月14日にロシアの首都モスクワ (Москв) で生まれた。
イラストレーター。

1979年から1984年にかけ、モスクワ・ポリグラフィック・インスティテュート (Московского полиграфического, Moscow Polygraphic Institute) で学んだ。
1984年、モスクワ印刷大学 (Московский государственный университет печати имени Ивана Фёдорова, Moscow State University of Printing Arts) に進み、Vladimir Ryvchin、Dmitry Bisti、Andrey Vasnetsov の指導を受けた。

絵本の挿絵おイラスト以外にも、アニメやゲームのプロジェクトにも参加し、作品を提供している。
活動の場もロシアだけでなく、ベルギー、ルクセンブルク、スペイン、イタリア、カナダ、ドイツ、そして日本と、ヨーロッパを中心に世界各地から依頼を受けている。

ポストしたのはルイス・キャロルの 『不思議の国のアリス "Alice's Adventures in Wonderland"』 に付けられたイラスト。
ドイツの出版社から発行されたもので、日本では西村書店から翻訳が出ているので、書店で目にしたことのある方もおられるのではないだろうか。

JULIA GUKOVA
kidpix: Гукова Юлия


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Annie Leibovitz × Natalia Vodianova - Alice In Wonderland -











Annie Leibovitz (アニー・リーボヴィッツ)
1949年生10月2日にコネチカット州 (Connecticut) のウォーターバリー (Waterbury) で生まれた。
米国の写真家。

祖父母はヨーロッパからのユダヤ移民で、父親の両親はルーマニアからの移民。
父親のサム・リーボヴィッツ (Sam Leibovitz) はアメリカ空軍の大佐で、母親のマリリン・リーボヴィッツ (Marilyn Leibovitz) はエストニアのユダヤ人の伝統舞踊のインストラクターを務めるモダン・ダンサーであった。
アニーは、父親の仕事の関係で各地を転々とし、ベトナム戦争でフィリピン勤務となった時に最初の写真を撮影したのだそうだ。

高校時代、さまざまな芸術に興味を持ち、曲を書き演奏するようにる。
サンフランシスコ・アート・インスティチュート (San Francisco Art Institute) に進学し、絵画を学んだ。
1969年にイスラエルのアミールで過ごした数ヶ月を含め、数年間、さまざまな仕事をこなした。

1970年にアメリカに戻ってからフォトグラファとしてキャリアをスタートさせ、創刊されてまだ数年だったローリング・ストーン誌の依頼を請けて仕事をするようになった。
1973年、ローリング・ストーン誌の発行人で編集者であったジャン・ウェナー (Jann Wenner) はリーボヴィッツをチーフ・フォトグラファとして招き、以後10年にわたってその職を務めることになるのだが、招かれた時点で23歳という若さであったということに驚く。
1975年、ローリング・ストーンズはその年のツアーのドキュメンタリを撮影するのにアニー・リーボヴィッツを雇った。
リーボヴィッツの撮影したこのツアーのドキュメンタリ写真は評判を呼び、リーボヴィッツを有名にした。
しかし、ツアー同行中、過度のストレスからコカインに手を出してしまい、そこから抜け出すのに5年かかったという。
そして1980年。
12月8日の午前、マンハッタンにあるジョン・レノンの自宅アパート、ダコタ・ハウスを訪れて 『ローリング・ストーン』 誌に掲載予定の写真撮影を行った。
同日23時頃、レコーディングスタジオから自宅に辿り着いたジョン・レノンは「レノン?」と声をかけてきた男、マーク・チャップマンに銃で撃たれ死亡。
この日リーボヴィッツが撮影した仰向けに寝そべったオノ・ヨーコに全裸でまたがるジョン・レノンの写真が1981年1月22日発行の 『ローリング・ストーン』 誌のジョン・レノン追悼号の表紙に採用された。
アニー・リーボヴィッツというとこの写真を思い浮かべる人が多いだろうし、誰が撮影したものかは知らずとも、見たことはあるという人も多いだろう。

1983年、活動の場を 『ヴァニティ・フェア』 誌に移す。
1998年には 『ヴォーグ』 誌へと移籍し、ファッションフォトの世界にも活動の場を広げた。


Natalia Vodianova (Наталья Водянова、ナタリア・ヴォディアノヴァ)
1982年2月28日にロシア西部の商工業都市ゴーリキー (Горький、現在のニジニ・ノヴゴロド (Нижний Новгород、Nizhnij Novgorod、ニージュニイ・ノーヴゴロト、ニージュニイ・ノーヴガラト)) の貧しい地域で生まれ育った。
現在はイギリス在住。
ファッションモデル、女優、フィランソロピスト。

父親はナタリアがまだ幼かった頃に出奔してしまったので、母親と姉妹がふたりという家庭で育ったが、非常に貧しかったという。
また、姉妹のひとりは脳性麻痺を患っている。
そういった家庭環境だったこともあってか、児童福祉の活動には熱心で、フィランソロピストとしての活動もしている。

15歳でモデルエージェンシーに加入し、成功を得るためには英語の勉強が必要不可欠だといわれ、3ヶ月で習得。
17歳になるとパリへと移住し、VIVA Model Managementと契約。


このエディトリアル、『不思議の国のアリス "Alice's Adventures in Wonderland"』 をテーマにしたファッションフォトの中では人気の高いシリーズの一つなのではないだろうか。


Magazine: Vogue US
Issue: December 2003
Title: Alice in Wonderland
Photographer: Annie Leibovitz
Model: Natalia Vodianova
Fashion Editor: Grace Coddington
Hair: Julien d'Ys/Island d'Ys
Makeup: Gucci Westman
Set design: Mary Howard
Prop fabrication: Jean Hugues de Chatillon


Wikipedia - アニー・リーボヴィッツ
Wikipedia - ナタリア・ヴォディアノヴァ
the Fashion Spot - View Single Post - Fairy-tales
foto_decadent: I. The Alice Series

Charles Robinson - Alice's Adventures in Wonderland -











Charles Robinson (チャールズ・ロビンソン)
1870年10月に北ロンドンにあるイズリングトン (Islington) で生まれた。
英国のイラストレーター。

父親がイラストレーターで、兄弟のトーマス・ヒース・ロビンソン (Thomas Heath Robinson) とウィリアム・ヒース・ロビンソン (William Heath Robinson) もイラストレーターになった。

チャールズ・ロビンソンは版画家の見習いとして働きながら、夜学で芸術を学んだ。
一冊の本のイラストを丸ごと担当した最初の本はロバート・ルイス・スティーブンスン (Robert Louis Stevenson) が子供向けに編んだ "A Child's Garden of Verses" という詩集で、100点以上のイラストを描いている。
この本は評判を呼び、よく売れたため、ロビンソンは以後多くの挿絵を依頼されたという。

今回ポストした 『不思議の国のアリス "Alice's Adventures in Wonderland"』 もそうして依頼を受けたものの一つ。
他にも、ユージン・フィールド (Eugene Field) の "Lullaby Land"、W. E. キュール (W. E. Cule) の "Child Voices"、フリードリヒ・フーケ (Friedrich de la Motte Fouqué) の 『ジントラムの道連れ "Sintram and His Companions"』、『グリム童話 "Grimm's Fairy Tales"』、フランシス・ホジソン・バーネット (Frances Hodgson Burnett) の『秘密の花園 "The Secret Garden"』 といった児童文学の挿絵を多く手がけている。

Wikipedia
Alice's adventures in Wonderland : Carroll, Lewis, 1832-1898 : Free Download & Streaming : Internet Archive
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