作場季野 (Sakuba Tokiya) aka TOKIYA (トキヤ)
1983年東京生まれのイラストレーター。
少年時代、昆虫採集などで捕まえた昆虫の、例えば大型の甲虫類が畳んでいた翅を広げたところを見たことがある者なら、そこになんとも言いようの無い心のざわめきや戦慄きを感じたことがあるだろう。今思えば、それは昆虫に対して感じた官能だったのだけど、あの頃はなぜ自分はこんなに興奮しているのだろう?と不思議で仕方がなかった。
Tokyoの描いた1枚目の作品の昆虫少女 (少年かもしれないけど) の体と翅の接合部分を見たときに、とてもエロティックに感じ、少年時代のあの官能のざわめきを思い出した。
少年時代にあのざわめきを味わった者は、みなりっぱな変態へと成長する。
ナボコフをごらん!
「・・・内臓がさらけ出されている間じゅう、私はそのときの場面をずっと夢みていた。エーテルをたっぷりふくませた氷のように冷たい脱脂綿を蛾のきつねざる に似た顔に押しつける。体のけいれんが徐々に弱まって行く。胸の固い殻に満足げな音とともに針を突きさす。それからそれを底が固いコルクになっている展翅 板の溝に用心深くさし、大きな条の走っている「大きな目」を持った羽を左右対称にきれいに広げ、その上にきれいにパラフィン紙を張り・・・・・・」
ウラジーミル・ナボコフ (Vladimir Nabokov) 『ナボコフ自伝 記憶よ語れ "Conclusive Evidence: A Memoir"』 大津栄一郎訳 晶文社 より
蛾の痙攣に合わせナボコフの心が痙攣しているのが伝わってくるかのような文章。ねちっこい。
同じ蝶好きでも、ヘルマン・ヘッセ (Hermann Hesse) はなぜかとてもまともな人なのだけど、これは例外だろう。
TOKIYA SAKUBA
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