Jock Sturges (ジョック・スタージェス)
1947年ニューヨーク生まれの写真家。
Jock Sturges (ジョック・スタージェス)は、いわゆるヌーディストビーチといわれるコミュニティで生活している思春期くらいの少女や少年含む人々、家族のポートレートをモノクロを主体に撮影し続けているアメリカの写真家である。
写真集 『あの夏の最後の日』 のあとがきによると、少年時代は本の虫といってもよいよくらい本ばかり読んでいたそうだ。家には写真に関する本が揃っており、その頃に接した写真は記憶として心の中の多くを占めることになったとスタージェスは思い返している。
スタージェスは特に記憶に残った写真をふたつ挙げている。そのひとつは、ロバート・キャパ (Robert Capa) のあの有名な、スペイン共和国派兵士が撃たれて後ろに倒れ掛かる瞬間を撮影した 『崩れ落ちる兵士 "Falling Soldier"』 というタイトルで知られている写真。正式のタイトルを 『人民戦線兵士の死 "Loyalist Militiaman at the Moment of Death"』 という。この兵士が身に付けているサスペンダーが、あまりに人間の生々しさを伝えていて、他人事とは思えなかったのだそうである。この写真を見たのはまた5歳か6歳の頃で、スタージェスは見た瞬間その場に立ち尽くしてしまったという。
スタージェスがもうひとつ記憶に残った写真を挙げている。マルク・リブー(Marc Riboud) の 『入浴のあと "After the Bath"』 という作品がそれで、この写真についてはリブーの他の写真と一緒にエントリを立てる予定だから、ここでは触れずにおく。
ジョック・スタージェスが写真を撮り始めたのは、アメフトの練習中か試合中に骨折をし、ルームメイトからなにげなくカメラを借りたことがきっかけだったという。その当時の被写体は友人たちで、同世代の子どもたちを繰り返し撮影するこを通し、社会的にも、知的にも、そして性的な人間としても成長できたと振り返っている。
そして、マールボロ大学 (Marlboro College) とサンフランシスコ・アート・インスティテュート (San Francisco Art Institute) の写真学科を卒業し、スタージェスは写真家としての道を歩むことになった。
その後、ピーター・サイモンという写真家の 『世界のナチュリスト・ビーチ・ガイドブック "The World Guid of Naturist Beaches"』 という本との出合いが、ナチュリズム (Naturism、裸体主義) とナチュリスト (Naturist、裸体主義者) たちの生活共同体に関心を持つきっかけとなった。スタージェスはピーター・サイモンと面識があり、どこがお気に入りのビーチなのかと問うと、フランスのモンタリヴェ (Montalivet) という答が躊躇なく返ってきた。このモンタリヴェは、フランス南西部のアキテーヌ地域圏 (Aquitaine, Aquitània, Akitania) に属するジロンド県 (Gironde) にあり、1950年代にナチュリストたちのためにビーチの一部を開放した。
スタージェスによると、ナチュリストとアメリカの 「ヌーディスト」 には違いがあるのだという。
ナチュリストはアメリカの"ヌーディスト"とは異なり、それが自然だとと思えば、服を着ることもある。暖かい日であれば、たいていはなにも着ない。しかし、寒かったり、日焼けのせいではだがひりひりしていたり、一時的に恥ずかしさを感じたりして、誰かが水着を着たいと言いだしたとしても、とやかく言われるようなことはまずない。何を着るかは、最終的に他人が干渉すべきことではなく、本人の問題なのだ。と、その違いについて述べている。
『あの夏の最後の日』 より
あとがきではこの後、ナチュリストにおけるセクシュアリティのありかたと子どもたち、ひるがえって、アメリカにおけるセクシュアリティと子どもという、重要な問題について述べているのだけど、まとめるのが厄介なので、その部分についてはまた後日追加することにしたい。
『あの夏の最後の日』 という写真集の元版である "The Last Day of Summer" がアメリカで出版されたのは、1991年のことで、その前年、1990年にFBIが児童ポルノ禁止法違反の容疑でサンフランシスコのスタージェスのスタジオを家宅捜索するという事件があった。結局、児童ポルノに該当するものではないということになり、不起訴となったが、当時アメリカ社会には大きな影響を与え、FBIへの抗議活動にまで発展したのだという。
一年ほど前には、オーストラリアの写真家ビル・ヘンソン (Bill Henson) がやはり同様の事件に巻き込まれている。ビル・ヘンソンの件がニュースになったちょうどその頃、僕は Rebekka Guðleifsdóttir のエントリで、エルトン・ジョン (Elton John) がバルティック・センター現代美術館に貸し出したナン・ゴールディン (Nan Goldin) の撮影した少女のヌードが児童ポルノにあたるとして差し押さえられたという事件に触れている。なんというシンクロニシティ。
そういうこともあってか、エクスキューズというのではないが、『あの夏の最後の日』 には、作家ジェイン・アン・フィリップスの、『満ち足りた午後』 には、村上龍の書いたテキストが冒頭に収められている。そのうちにこれらのテキストからの引用も付け加えることにしたい。
Wikipedia
Photography-Now - International Fine Art Photography Index - Sturges Jock
Luminous-Lint - Online exhibition - Jock Sturges
Jock Sturges-info
Jock Sturges
JOCK STURGES
SCALO | GUYE GALLERY
Jock Sturges Butters Gallery, Ltd.
随分前にクリスチャン E. クリンガー (Christian E. Klinger) が監督したジョック・スタージェスのドキュメンタリー映画 "Line of Beauty and Grace, a documentary about Jock Sturges" のDVDを発売している会社から、それを告知するメールが届いていた。スタージェスについてま とめるのって時間がかかるよなあとぐずっている間にかなり経ってしまい、今更ではあるがこの件についても、リンクを張っておく。
リンク先では予告編の映像やスタージェスの写真などを見ることができる。
Jock Sturges - Line of beauty and grace
Interview channel » Blog Archive » Vlog, Videoblog: Jock Sturges: Line of beauty and grace
記述にいくつか間違いがあることをメールでご指摘頂いた。M.Tさんありがとうございます。
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