Allen Jones (アレン・ジョーンズ)
1937年、イングランド南岸にあるハンプシャー (Hampshire) の都市サウサンプトン (Southampton、サウザンプトン、サウスハンプトン、サザンプトン) で生まれた。
英国の画家、彫刻家、版画家。
1955年から1959年にかけてロンドンのホーンジー・カレッジ・オブ・アート (Hornsey College of Art) で学び、1959年から1960年をロイヤル・カレッジ・オブ・アート (Royal College of Art) でポップアートの運動にかかわった後、1960年、再びホーンジー・カレッジ・オブ・アートに戻ると1961年まで同校で学んだ。
1960年代半ばまで、ニーチェ思想やユングの心理学に影響を受けた作品を制作。
1964年、ニューヨークに渡り、翌1965年までアメリカ各地を旅して周った。
ニューヨークでデイヴィッド・ホックニー (David Hockney) の作品に出合い、その大量生産消費社会をイメージさせる世界に惹き付けられた。
また、1940年代、1950年代のセクシュアルなイラストを発見し、影響を受けたエロティックな作品を制作するようになる。
そして1969年、アレン・ジョーンズを一躍有名にすることとなった裸婦家具セット 《椅子、テーブル、そして帽子掛け (Chair, Table and Hat Stand)》を制作。
江戸川乱歩の短篇小説に「人間椅子」という有名な作品があるが、あれをもっとあられもなく表現したこの家具セットは、ラバーフェチ、ボンデージSMへの志向/嗜好が濃厚で、その手の方はウットリすることだろうが、フェミニスト的にはとんでもなく非常識な作品であったことと思われ、当時の反応を確かめたいところ。
安易にフェティシズム的志向/嗜好が濃厚と述べたが、宮川淳は 『引用の織物』 に収録されているアレン・ジョーンズ論 「すべる」 の中で、ジョーンズの作品のエロティシズムについて次の様に語っている。
ジョーンズの芸術はしばしばエロティシズムから論じられがちだが、エロティシズムもまた、ジョーンズにとって、単にこの表面のたわむれの絶好の触媒にすぎない。女の脚の主題も、それをつつむすべすべとしたコスチュームもそこから生まれるのであって (それだけに、ジョーンズの芸術はエロティックというよりは、むしろ単にセクシーという方がふさわしい)、彼自身がくりかえし否定しているように、そこにフェティシズムやなんらかのオブセッションを見るべきではないだろう。むしろ、これもまた、ジョーンズが大衆図像のソースから抽き出したもうひとつの要素なのだ。事実、マス・メディアのエロティシズムはなによりも表面のエロティシズム、表面化するエロティシズムであり、肉体をセクシーな表面にまで還元するところに成立する。もしオブセッションを語るなら、むしろジョーンズにあっては、イメージそのものがオブセッシヴなのだ。そして、それはイメージがまさしく表面のたわむれに返されているからである。いいかえれば、女の脚そのものがオブセッシヴなのではなく、イメージそのもののオブセッションのひとつのモチーフとして女の脚がえらばれているのである。その意味で、むしろ重要なのは、特に初期の作品にまさしく憑きまとう視線の変形ないし消去だろう。
- 宮川淳 「すべる」 (『引用の織物』 収録) より
1970年頃のことになるが、スタンリー・キューブリック (Stanley Kubrick) がこの家具セットをいたく気に入り、制作する映画 『時計じかけのオレンジ (A Clockwork Orange)』 の中にぜひ取り入れたいとアレン・ジョーンズにセット・デザインを依頼している。
しかし、残念ながらアレン・ジョーンズが一旦は引き受けた依頼を断ってしまったため、映画の中でジョーンズのデザインしたセットが使用されることはなかった。
が、諦めきれないキューブリックは劇中のコロバ・ミルクバー (Korova Milkbar) のシーンにアレン・ジョーンズ風の裸婦テーブルを小道具として登場させている。
ジョーンズがキューブリックからの依頼を最終的に断ったのは、ジョーンズの作り出したイメージがフェティシズムやオブセッションを手軽に表す道具として利用されるのを嫌ったためなのだろうか。
実際にどういった理由で断ったのかはわからないが、『時計じかけのオレンジ』 の劇中でジョーンズの作り出したイメージを見てみたかった。
1976年、今度はバーベット・シュローダー (Barbet Schroede) から映画 『愛人 (Maîtresse)』 のデザインを依頼されて、今度は断らずに請け負っているのは、『時計じかけのオレンジ』 を観て思うところがあったからかもしれない。
ポストしたのは、
"Maid to Order Ⅲ" (1971)
"Cut-a-Way" (1976)
"One Way Traffic" (1974)
"[no title] From Ways and Means 001" (1976-1977)
"[no title] From Ways and Means 002" (1976-1977)
"[no title] From Ways and Means 011" (1976-1977)
"Life Class" (1968)
"Untitled (from Album)" (1971)
"Costume Design for "A Clockwork Orange"" (unused) (-)
"Chair" (1969)
の10点。
1点目はコリン・ウィルソン (Colin Wilson) の 『性のアウトサイダー (The Misfits: A Study of Sexual Outsiders)』 のカバーに使用されたので、アレン・ジョーンズをご存じなくともご覧になったことがあるという方がおられるかもしれない。
10点目が上で触れた 《椅子、テーブル、そして帽子掛け (Chair, Table and Hat Stand)》 という人騒がせな家具セットの椅子で、テーブルと帽子掛けをご覧になりたい方は検索すると該当の作品を見ることが出来る。
出来ればセットを撮影した写真をポストしたかったのだけど、どれも気に入らず、諦めて、椅子のみのポストとなった。
David LaChapelle × Rie Rasmussen - hello buoys - でポストした1点目の、ガラスの天板をのせた四つん這いの女性は、多分アレン・ジョーンズの作品からインスピレーションを得たものなのではないかと思う。
Wikipedia
Art and artists: Artworks | Tate
Picture Gallery of Allen Jones Pop Art Wallpapers
Allen Jones
Sims Reed Gallery – Allen Jones
Allen Jones (b.1937) - Prints - Original Prints
Allen Jones on artnet
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