Maria L. Kirk (マリア L. カーク、マリア L. キーク)
多分アメリカの人。
イラストレーター。
20世紀前半に活動していたイラストレーターで、『不思議の国のアリス』 のイラストを手がけたこともあってアリス狂の方々の中では有名。
しかし、マリア L. カーク自身に関するデータというのがあまり残っていないらしく、個人に関する情報を検索してもほとんど見つけ出せずに終わった。
『不思議の国のアリス』 のイラストについては検索すればザクザク見つかるので、ここでは、オランダのロッテルダム生まれでイギリス育ちの児童文学作家メアリー・ルイーザ・モールズワース (Mary Louisa Molesworth) が1877年に発表した "The Cuckoo Clock" のアメリカのエディションために描いたイラストをポストしてみたい。
"The Cuckoo Clock" は、『かっこう時計』 という邦題で福武文庫から翻訳が出ていたが、今は古本屋で探さないとお目にかかれない。
『不思議の国のアリス』 は1865年に発表された作品なので、『かっこう時計』 はその12年後の作品ということになる。
4枚目と5枚目は、物語の主人公の少女、グリゼルダがかっこう時計の中に入り込んでかっこうと会話をする場面を描いた印象的なイラスト。
『かっこう時計』 の文庫が手元にあるので、一部を引用してみよう。
「時計のなかに並んですわれっていうの。そんなのむりよ。わたしは大きすぎるもの」という会話があり、気が付くとグリゼルダはかっこう時計の中。
「大きいですって!? 大きいとはどういうことです。すべては考え方ひとつですよ。この世界と世界じゅうのものを、あなたも数に入れてですがね、クルミに入るくらいの大きさにしてしまえば、大きい小さいの区別などつかなくなるでしょう」
扉のなかは、それは魅力的な、こじんまりとした部屋になっていました。なんだか列車の特等個室に似ています。壁布もじゅうたんも手ざわりのよいまっ赤なベルベットでした。まんなかに丸テーブルとひじかけいすが二脚置いてあり、片方のいすにカッコウが ―― 「まるで人間みたいだわ」 とグリゼルダが思ったようなようすで ―― 腰かけていました。かっこうは、うなずいてもうひとつのいすを示しました。どうやらそちらはグリゼルダのために用意してあるようです。グリゼルダを招き入れたカッコウは妙に説教臭く、遊びたい、楽しくなることをしたいというグリゼルダに、何度となく 「あなたは学ばなければならないことがたくさんあります」 と繰り返す。
「ありがとう」 グリゼルダはそのいすにすわりました。
「すわり心地はいかがですか」
「いいわ」 グリゼルダは満足そうにあたりを見わたしました。
「・・・・・・それとも ―― そうだ、このほうがいいわ ―― もし妖精なら、妖精の国へ連れていってくれない?」と、まあ、万事がこんな調子で、不条理に満ちた 『不思議の国のアリス』 とは対照的。
こんどもかっこうは首をふりました。
「それはできません」
「どうして? おおぜいの子どもがいっているのよ」
「それはどうかな。いった子はいるかもしれないけれど、おおぜいということはないでしょう。ほんとうはいっていないのにいったと思い込んでいる子もいます。妖精の国へいった人たちについて、ひとつだけ確かなのは、連れていかれたのではなく、自分で自分の道をみつけたということです。ほんものの妖精の国へ連れていってもらった人などひとりもいません。近くの国までならともかく、妖精の国そのものへはね」
グリゼルダのお転婆さが想定の範囲内ってところや教訓めいたお説教臭もあって、手放しで面白いと言える児童幻想文学作品ではないのだけど、かっこう時計の中で少女とカッコウが話をするってイメージは好みかな。
Maria L. Kirk
The Project Gutenberg eBook of The Cuckoo Clock, by Mrs. Molesworth
Inside the Cuckoo Clock by Maria L. Kirk - Everyday Weirdness (April 5th 2009)
Imaginaria » Las aventuras de Pinocho. Capítulos IX y X
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