ゴングのように鳴りわたる時間、縁からあふれるほどにそこを満たす滝、
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Monday, May 22, 2006
Winold Reiss
Winold Reiss (ワイノルド・ライス)
1886年9月16日にドイツの現バーデン=ヴュルテンベルク州 (Land Baden-Württemberg) にあるカールスルーエ (Karlsruhe) で生まれた。
1953年8月23日、ニューヨークで亡くなった。
アメリカのアーティスト、グラフィックデザイナー。
ドイツの風景画家、フリッツ・ライス (Fritz Reiss) の息子として生を受けた。
父親が農夫を描くために国内を旅してまわった折、ワイノルドもその旅に同行し、肖像画についての考え方や描き方について多くの示唆を得た。
1913年、ワイノルドはアメリカに移住。
ネイティブアメリカンに魅せられ、その後のキャリアを通しのテーマとなった (実際、魅了されただけあって、ワイノルド・ライスが描き続けたネイティブアメリカン達の肖像画はとても素晴らしい。今回は選択基準にしたテーマから外れているので、別の機会に改めてエントリを立ててみたい)。
1921年、一度ドイツ本国に帰国したが、1922年に再び渡米し、以後亡くなるまでニューヨークを拠点に活動を続けた。
ワイノルドが肖像画家とデザイナーのどちらに比重を置いていたのかは不明だが、ウィーン分離派に影響を受けたというインテリアデザイン、グラフィックデザインもモダン且つスタイリッシュで、このエントリにポストする作品とはまた違った魅力がある。
興味を持った方は各々で調べて頂くとして、ここではアフロ・アメリカンの肖像画についてまとめておくとしよう。
1925年に作家・思想家であったアレン・ロック (Alain Locke) は1920年代にニューヨークのハーレムを中心に花開いたハーレムル・ネッサンスに関連したアフロ・アメリカンの文化について論じた 『新しい二グロ (New Negro)』 を編纂。
ロックは序文で
今まで、アメリカの二グロは現実としての人種というより、名称としての人種であった。あるいは、正確に言えば、経験の共有においてというより情緒的につながった人種であった。彼らを結ぶ主要な絆は、共通の意識というより同じ状況に置かれたもの同士の絆であった。共通の人生というより共通の問題を抱えた人種であった。ハーレムで、二グロの人生は、集団的表現と自己決定の機会を初めて獲得しつつある。ハーレムは二グロという人種の首都である。少なくともそうなることを約束している。だからこそ私たちは、今日の世界で創造的な役割をはたしている民族的表現と自己決定権の新しい中心地と、自分たちとを比較するのである。政治的意味合いのことはともかくとして、ダブリンが新しいアイルランドのためにあるいはプラハが新しいチェコスロヴァキアのために果たしつつあるのと同じ役割を、ハーレムは新しい黒人のためにはたしているのである。
と述べ、アフロ・アメリカン (の中産階級) を鼓舞した。
しかし現実はアフロ・アメリカンにとってはまだかなり過酷な世界だったという。
それでも、
新しい二グロは、新世界とりわけ新しいアメリカの将来展望の中で見られる必要がある。パレスチナの地にはユダヤ主義が復活したりして、ヨーロッパでは多くの中心地が新興の民族意識で沸き返っている。これらの中心地が、黒人大衆の生の胎動で活気づき始めたアメリカの中心地以上に、この時代の進歩勢力と通じているわけではない。新しい精神的広がりと芸術的成熟を求め、アメリカ文学、国民的芸術および国民的音楽を作り出そうと試みているアメリカには、同じ満足と目的をもとうとしているアメリカの二グロ文化が内包されている。
とやや理想に傾きつつも将来への展望と現状を語っている。
この 『新しい二グロ』 は新しい世代に向けた伝統的表現の可能性を示唆する面もあり、アフロ・アメリカン新世代へ向けたアレン・ロックの歌、「つまり、アメリカ黒人の表現史に新時代を画すような歌の本を出そうという試み」 だったのではないかとヒューストン・A・ベイカー・ジュニア (Houston Alfred Baker Jr.) は 『モダニズムとハーレム・ルネッサンス―黒人文化とアメリカ (Modernism and the Harlem Renaissance)』 (未来社) で指摘し、例えば、『新しい二グロ』 の中ほどに黒人霊歌 (スピリチュアルズ) が2曲、完全な採譜と歌詞で収録されているが、そのおかげで我々はアフロ・アメリカンの伝統表現たる黒人霊歌に触れることができるのだし、更に絵画やイラストもこの本に収録し、祖先の美術であるアフリカの仮面や彫刻についても写真を付したエッセイで語ることで、多層的・重層的に展開されたものとなっているのだと述べている。
以上、長々と『新しい二グロ』 に関することをまとめたが、この本に収録されたイラストを描いたアーティストの1人がワイノルド・ライスなのであり、ヒューストン・A・ベイカー・ジュニアは 『モダニズムとハーレム・ルネッサンス』 で、
たとえば、ワイノルド・ライスやアーロン・ダグラスのイラストだが、それらはアフリカ的なモチーフ (特に仮面) において、「先祖伝来」 の文化に特有なライトモチーフを浮かび上がらせるのに役立っている。ライスやダグラスの作品は、実際、この本の散文や詩やドラマのすべてを取り囲んで装飾し、視覚的にアフリカ的な臨場感を与えている。
と、ワイノルド・ライス達の作品の役割について指摘。
ポストした作品の1枚目と2枚目が 『新しい二グロ』 に収録されている作品で、特に2枚目については、
本の口絵として後続世代に生命を与える生命力あふれるマドンナの肖像
と高く評価している。
ポストしたのは、
"The brown Madonna" (1925)
"Mary McLeod Bethune" (1925)
"Congo" (1925)
"Woman in Red Dress" ()
"Two Public School Teachers" (1925)
"Harlem Girl I" (1925)
"Woman in Green Hat" ()
"Miss Zora Neale Hurston" (1925)
の8点。
8枚目の "Miss Zora Neale Hurston" はもちろん民俗学者、作家のゾラ・ニール・ハーストンの肖像画。
ハーレム・ルネッサンスを代表する女性のひとり (といっても、その後忘れ去られていたが、アリス・ウォーカーがハーストンからの影響について語ったことなどをきっかけに再び脚光を浴びるようになった)。
『彼らの目は神を見ていた (Their Eyes Were Watching God)』
『ヴードゥーの神々―ジャマイカ、ハイチ紀行 (Tell My Horse: Voodoo and Life in Haiti and Jamacia)』
『ハーストン自伝 路上の砂塵 (Dust Tracks on a Road)』
『騾馬とひと (Mules and Men)』
といった主要な著作は翻訳されているので、アフロ・アメリカンの文化に興味がある方は手に取ってみるといいだろう。
Winold Reiss - Early Modernist in 20th Century American Art and Design
Wikipedia
NYPL Digital Gallery | Results - Winold Reiss
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