Ellen von Unwerth (エレン・フォン・アンワース、エレーン・ヴォン・アンワース)
1954年にドイツ中西部のヘッセン州 (Land Hessen) 南部の都市、フランクフルト・アム・マイン (Frankfurt am Main) で生まれた。
現在はニューヨーク在住。
フォトグラファ。
生後まもなくバイエルンに移り住んだが、2歳を迎える前に孤児となってしまった。
以後、児童養護施設で育ち、全寮制の学校に進んだ。
しかし、十代の頃にドロップアウトし、ミュンヘンのヒッピー・コミューンに移るが、思い立ったら即行動というのフォン・アンワースの行動力は、この後にも繰り返され、その度ごとに新たな道を切り開いていくことになる。
18歳の頃、移動サーカス団として有名なロンカリ・サーカス (Circus Roncalli) を見に行ったそうなのだが、そのロマンチックな世界の虜となると、すぐにサーカス団の一員となり、ナイフ投げをするピエロのアシスタントを務めたりするようになった。
そんなある日、路上で写真家にモデルにならないかと声をかけられ、やせっぽっち (スキニー) でモデル向きではないと思いながらもモデルの世界に憧れを持つようになる。
1974年、意を決してパリに移住すると、モデル事務所のドアを叩き、モデルとしてのキャリアをスタートさせた。
モデル時代に付き合っていたボーイフレンドがフォトグラファで、二人の暮らすアパートには暗室があり、そこでプリントの焼き方を教えてもらったり、カメラをプレゼントされたことがきっかけで写真をとり始め、仕事仲間のモデルたちの写真を撮るようになった。
そんな頃、ドイツの Jill 誌のモデルの仕事でケニヤを訪れ、自由時間を利用して現地の子供たちや生活する人々を撮影。
プリントした写真を見た人が口々にいい写真だと言い、気分のよかったフォン・アンワースは、デザイナーのキャサリン・ハムネット (Katharine Hamnett) にその写真を見せると、ハムネットは自身のブランドの初の広告キャンペーンの撮影にフォン・アンワースを起用。
ちなみに、フォン・アンワースが見せたその写真は、カメラを手にしてまだ2週間目くらいに撮影されたものである。
まったく、見せるほうも見せる方だし、起用するほうも起用する方なのだが、これくらい大胆でないと新しいものは生まれないのかもしれない。
フォン・アンワースが撮影したこの最初の広告キャンペーンは検索すると見つけることが出来る。
正直、微妙な写真で、あちゃーって感じがしなくもないのだが、フォン・アンワースがその後に開花させるエッセンスも既にこの広告の中にあって、そこが面白いので、興味のある方はこちらを見てみるといいだろう。
写真に夢中になったフォン・アンワースは、モデルの仕事で撮影されている時にライティング等の注文をあれこれ出すようになり、当然、その行為は厄介に思われ、モデルの仕事が徐々になくなっていった。
ファッションモデルとして活動するようになって10年くらいになっていたフォン・アンワースは、座って時間を待ち、髪をただ弄られるなんてことより、クリエイティブな仕事をしたいと望んでいたのである。
1986年、フォン・アンワースはフォトグラファとして新たなキャリアをスタートさせ、5年後の1991年にファッション写真国際フェスティバルで第1位を獲得するまでになった。
2006年のエントリに2007年に原著が出版された本からの引用をするのもどうかと思うのだが、上述の内容に既にその本から得た内容が織り込まれているので、今更気にしても仕方がない。
という訳で、アン=セリーヌ・イエガーの 『写真のエッセンス』 に収録されたエレン・フォン・アンワースへのインタビューから、一つ二つ引用してみたい。
どこからインスピレーションを得ているのですか?無声映画が好きだということですが、ベティ・ペイジのような要素もあるのでしょう?
スパンキングをしている、古いきわどい写真も大好きですし、ベティ・ペイジも大好きです。私は無声映画のコレクションをしていて、そのドラマチックな側面やオーバーな演技が大好きなんです。ほかの誰も好んで見ようとはしないかもしれませんが、私は大好きです。無声映画はとてもきわどくて、最近の映画よりもずっと大胆です。
写真家についてはどうでしょうか。インスピレーションを受けた写真家はいますか?
ヘルムート・ニュートンは私のお気に入りの写真家の一人です。彼が撮る女性はとても強いからです。雑誌をパラパラとめくっていて、考えるんです。「わぁ、いまのは何だったんだろう?」って。それがたとえ写っているのが靴や手だけでも、彼の写真には何かとても強いものがあります。また、ジャック=アンリ・ラルティーグの写真も大好きです。彼の写真には人生と魅力と、軽やかさが備わっています。ある意味で彼らの写真は正反対の関係にありますが、私はどちらも大好きなんです。
ポストした写真は2002年に撮影された "Revenge" というシリーズで、2003年の春に Staley+Wise の個展で披露された。
エレン・フォン・アンワースはこのシリーズを撮影するに当たり、簡単な物語を用意。
マダム・ヴィダーは自動車事故で夫、夫の先妻、兄夫婦を一挙に失う。
マダム・ヴィダーに残されたのは、二人の間に生まれた三人の娘、先妻の三人の娘、兄夫婦の二人の娘だった。
事故のショックで弱ったマダムは、この娘たちに規律の教育を施す力が今の自分にはないと気付く。
娘たちは手に負えないお転婆ばかり。
困ったマダムは仕方なく、悪魔のようだと陰で噂される継姉妹の男爵夫人に娘たちの教育を委ねることにした。
と、まあ、このような物語である。
ロマン文庫的な背徳とエロスの匂いがプンプン匂う懐かしさ。
ロマン文庫といえば、以前新潮社から金子國義の写真集が出ていたが、あれはどこかエレン・フォン・アンワース的な、あるいはヘルムート・ニュートン的な雰囲気が濃厚だったな。
Photographed: 2002
Title: Revenge
Photographer: Ellen Von Unwerth
Model: Tina Davis, Janelle Fishman, Sarabeth Stroller, Dorota Wójcik, Julie Ordon, Diana Stoessel, Minerva Portillo, Lenka Batkova, Sheila Ruschell, Micki Olin, Svenja Parotat, Nicole Laliberté, Travis Marshall, & Karim Bekka
Stylist:
Hair:
Make up:
Wikipedia
Ellen Von Unwerth, Revenge
Ellen Von Unwerth, Staley+Wise
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